【一分雑学】霊柩車を見たら『親指を隠せ』なぜ?
子どもの頃、「霊柩車を見たら親指を隠せ」と言われたことありませんか? そうしないと『親が早死にする』と。
学校で習うわけでもなく、親にしつけられるわけでもなく、何となく皆知っているこの『まじない』のようなもの。
これって、どういう理由で始まったものなのでしょう?
霊柩車を見たら親指を隠す理由とは
結論から言うと、
親指は穢(けが)れや災いが入り込むところだと考えられていた
からです。
以下、少し説明を加えます。
親指から穢れや災いが入ってくる?
なぜ親指かというと
・土に触れることの多い農民が大多数だった時代、ちょっとした切り傷を負った親指から雑菌が入り、破傷風などの病気にかかったから
という説があります。
だからこそ、霊柩車ができた大正時代より前から葬儀の列を見たら親指を隠していたようです。
また、葬儀に関連することだけでなく、
- 疫病に感染した人の家の前を通るとき
- 暗い夜道を歩くとき
- 蛇やカラスを見かけたとき
など、さまざまな場面で親指を隠していたという伝承が各地に残されています。
江戸時代に、コレラが流行したときは対策として両手両足の親指を糸で縛るという民間療法まであったそうです。
親指ではなく、大指だった
そういう経緯があるので、親指を隠すのは自分自身に降りかかる穢れや災いを避けるという意味合いだったわけです。
本来、親は関係なかったというわけですね。
それがいつの間にか『親の早死にを避ける』ためとなっていったのは、親指と呼ばれるようになったからです。
ややこしい話なので、経緯を箇条書きにして時系列で並べておきます。
- 親指は本来、中世まで『大指』(おおゆび)と言われていた
- 大指から穢れや災いが入ってくると言われていた
- だから、そういった場に居合わせたとき親指を隠していた
- 江戸時代、大指のことを『親指』とよぶようになった
- 明治時代になると、親指が正しい呼び方になった
- 『穢れや災いの前では親指を隠せ』と『親』という文字が入ったので、それが人生の大きな災いである『親が早死にする』ことと結びつけられる
- 大正時代になって、霊柩車が登場する
- 霊柩車を見たら『親指を隠さないと親が早死にする』という話が広まる
こういう経緯だったようです。